大相撲と言えば、力士の髷とまわしという格好と対照的に、行司はきらびやかな衣装をみにつけているのが目に付きますよね。普段の生活ではなかなか見る事がないだけに、行司の衣装が気になる事もあると思います。

また、服装以外の持ち物として、帽子や手にもっているもの、腰に指しているものが気になるケースもあると思います。そこで今回は、大相撲の行司の持ち物を服装、帽子、軍配、脇差の4つに分けてまとめてみました。

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大相撲の行司の服装「行司装束」って?


まずは、行司の服装についてご紹介します。


大相撲中継がNHKで放送されるのは、だいたい十両の取り組みの途中からなので、行司と言えば、綺麗な衣装に帽子をかぶり、白足袋や草履をはいている格好が普通だと思われている方が多いのではないでしょうか。

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※参照:木村庄之助(Wikipedia)

大抵の方が、このような姿をイメージされると思います。



しかし、実は行司の服装は階級によって決められているのです。



びっくりするのは、幕下格以下の行司は「裸足」なのです。


さらに、衣装の裾が短いのです。

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※参照:土俵上の時間割

行司の服装は「行司装束」といって、白足袋がはけるのは「十両格行司」という階級からになっています。この次の幕内格行司というランクでも、途中までの行司は白足袋だけです。草履を履いても良いのは「横綱土俵入り」を務める立行司三役格行司という上位のランクのみになっています。

幕内の取り組みの途中から、行司が変わり、草履を履いていたら「三役級の行司だ」という事になるのです。


そして立行司は最も階級の高い行司で「式守伊之助」「木村庄之助」という名を継ぎます。

相撲解説アナウンサーが「合わせる行司は○○代目木村庄之助」と言う言葉に聞き覚えがあるのではないでしょうか。立行司には歴代の代数が必ず付けられます。


また、この行司衣装の階級には、「生地」まで違うのですよ。

十両格以上の行司は、夏は涼しい「麻」の生地、冬は厚地の「絹」に対して、幕下格以下の行司は年中「木綿」なのです。夏は裾が短い分比較的涼しいのかも知れませんが、冬は裾の短さプラス裸足なので、行司も寒さに耐えているのかもしれません。

これから大相撲中継を見るときは、行司の足元を確認したり、ここまでくるのに、大変な苦労があったという事を知ったうえであらためて見ると、また違った意味で大相撲を楽しめるかも知れませんね。

※参照:木村庄之助の衣装や年収はどれ位?式守伊之助との違いとは?

行司がかぶっている帽子「烏帽子」について


次に、行司がかぶっている帽子について解説します。

行司がかぶっている黒い帽子は「鳥帽子(えぼし)」と言います。これは、和装での礼服着装の正式な衣装の帽子で、現在も正式な和装の場や、時代行列なのでかぶられています。


大相撲での行司が身に付ける烏帽子は、階級に関係なく全ての行司が身に付けると決められているのですが、実はあご紐の色は階級によって違うのです。

階級の高い順で紹介しますと、立行司は紫色、三役行司は朱色、幕内行司は赤色、十両格行司は青色、幕下格以下はすべて黒もしくは青色なのです。


そして、かぶる事になる烏帽子のあご紐と、以下で解説する軍配にぶら下げる房の紐の色は同じである決まりが存在しています。

上の画像に戻って、2つの紐の色に注目してみてください。

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行司がもっている「軍配」について


大相撲の行司が必ず手にもっているものが「軍配(ぐんばい)」です。
この軍配はとても大事な役目を持っています。

まず、知ってのとおりだと思いますが、力士の取り組みの勝敗を軍配で決めます。
行司はしっかりと取り組みを見定め、どちらが勝ったのかを軍配にて示します。

これを「行司軍配」といいます。


たまに、行司が勝利力士を軍配で示した後、まわりの勝負審判たちが手をあげ土俵にあがり話し合いをする場面を見たことがあるかと思います。ほとんどが土俵際のきわどい勝負の時で、その土俵際で間近で取り組みを審判していた勝負審判が「行司軍配が違うのではないか」と確認や決定をするために審判4人が集まり話し合うのです。審判は耳にイヤホンを付けていて、ビデオ室に控えている親方のビデオ確認結果の意見もちゃんと耳に入ってくるのです。

この話し合いを「物言い(ものいい)」といい、話し合いが終わるとそれぞれ審判の席にもどり、審判長がマイクを持ち「ただいまの取り組みについて説明をします。行司軍配は○○にあがりましたが、・・・」と話し合った内容を伝え、勝負結果をあらためて報告します。

行司が示した軍配と審判が下した結果が違った場合を「軍配差し違え」と言います。

ここで分かる事は、最終的な勝敗の結果の決定権は行司ではなく審判にあるという事です。

ごくまれに全く同時に力士の身体が土俵の外につく場合がありますが、その場合でも行司は必ずどちらかに軍配をあげなければならないというつらい立場なのですよ。


また、軍配には取り組み前に力士が行う「しきり」といわれる所作を行っている際に「制限時間がいっぱいになった」ことを表す役目があります。

しきりの間、行司の動きをよく見ていると、時間前は行司は自身の身体を斜め横に向け軍配も身体に合わせ横を向いています。行司は正面を向き、軍配ぐっと身体に寄せ軍配の面を見えます。

これを「軍配を返す」といい、力士に制限時間がいっぱいになったことを付けるのです。解説席のアナウンサーは常に行司軍配をしっかり見ていて、「さっ軍配が返りました。制限時間いっぱいです」とテンポ良く解説を進めていきます。

行司が腰に指している「脇差」について


こちらの画像をもう一度見てみて下さい。

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※参照:木村庄之助(Wikipedia)

真ん中を見ると、何か棒のようなものを指しているのが分かると思います。

この棒は実は刀(短刀)であり、行司の最高位である立て行司が指している物になります。
名前を「脇差(わきざし)」といいます。


先ほど、「軍配差し違え」や、勝負の決定権は勝負審判にあるという事を書きましたが、行司が軍配をあげる事には重大な責任がのしかかっているのです。

そして軍配を差し違えた場合、切腹して責任をとりますという覚悟を意味しているのです。

立行司は行司の最高位である以上、ほとんどが横綱や大関の勝負を判断することになるので、その勝敗の判断は命がけで判断しなければいけないのです。といっても実際に切腹した行司はいませんが、あきらかな差し違えをした場合は「進退」つまり退職届を相撲協会の理事長に提出するのが暗黙の了解になっています。

この記事のまとめ


今回は、大相撲の行司の持ち物について、

・行司装束
・烏帽子
・軍配
・脇差



こちらの4つについて解説してきました。


大相撲中継で、取り組み中の行司を見ていると、あれだけの重そうな衣装を着て、よくあんなに動き回れるなーと感心してしまう時があります。それだけ、行司には大きな役割があり、力士の取り組みを遮らないよう素早く身体をよけながら、目を凝らして真剣に見定め、軍配にて勝敗の判断をしなければならないのですね。

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