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歴史の教科書や東大寺の南大門には、金剛力士像を見る機会があります。
この金剛力士像ですが、一体どのようなものなのでしょうか。


今回は、金剛力士像とはどのようなものかを基本から詳しくご紹介します。

また、金剛力士像の大きさやその特徴、材質についても調べてみました。
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そもそも金剛力士像ってなに?


そもそも、金剛力士像とはどのようなものなのでしょうか。

金剛力士像とは、一般的にはお寺の山門に安置されている仁王として親しまれています。
2体で1対ということから二王(仁王)と呼ばれるようになりました。金剛力士の語源は神聖な武器・金剛杵を持つものという意味があり、邪悪なもの侵入を防ぐ仏教の守護神です。

口が開いているものを「阿形」閉じているものを「吽形」といい、阿吽の呼吸の語源になっています。サンスクリット語では「あ」の音から始まり「ん」で終わることから、この世の始まりとこの世の終わりという意味がふくまれています。

金剛力士像の大きさはどれ位なの?


この金剛力士像ですが、大きさはどれ位なのでしょうか。

金剛力士像の中で特に有名な、東大寺南大門に安置されている像の大きさは国内最大級で、8.4メートルあります。法隆寺のものの大きさが3.8メートル程である事を踏まえると、東大寺南大門の像の大きさがどれ位大きいかが分かりますね。


こうした大きさを実現できたのは、後述する「寄木作り」という組み立て式で部品を組み立てる製法だからです。東大寺南大門の金剛力士像は3000もの部品を組み合わせて作られています。
複数の工人の手によるので、仏像がよりスピーディーに作り上げることも可能にしました。

鎌倉時代の仏像の制作には、奈良仏師の系統を受けた定朝の子孫とその系統の仏師の活躍がとくに目覚ましく、東大寺南大門の金剛力士像は運慶・快慶を始め、20人近い仏師が携わったとされています。

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金剛力士像の特徴を詳しく解説!


金剛力士像の特徴について、もう少し詳しく見ていきましょう。

金剛力士像の特徴として、通常山門に安置される場合は寺の山門の南側向きに安置されるので、風雨にさらされ、傷みが激しい事が挙げられます。そのため、日本国内で国宝に指定されているのはわずか3体で、東大寺南大門、法華堂、興福寺の国宝館にある像のみとなっています。

その中でも東大寺の法華堂、興福寺の国宝館の2体は堂内に安置されています。
東大寺南大門に設置されている金剛力士像は傷みが進むのをさけるため、阿吽像がそれぞれ向き合うように設置され、風雨から像を守るために南側の壁を封鎖して保護されています。


金剛力士像は筋肉体質で、足の筋肉が隆起しており、全体的に力強い風貌になっているのも特徴です。その姿から「健脚の神様」「健康の神様」としての信仰を集め、大小さまざまな草鞋が奉納されることもあります。

金剛力士像の材質について。何で造られているの?


金剛力士像の材質についても気になりますね。

一体何で造られているのでしょうか…?


金剛力士像の材質は檜の木材が使われています。藤原道長、頼通の摂関時代に末法思想が広がり、阿弥陀堂や阿弥陀如来像が大量に作られるようになりました。そのため、日本の風土の中で最も手に入れやすい木材が大量に伐採され使われるようになります。


9世紀ごろ仏像の作り方としては一本の木を材料として仏像を彫る一木造りが主流だったのに対して、11世紀ごろ定朝(じじょうちょう)という仏師(仏像などを作る人のこと)により寄木造という手法が編み出されました。
この寄木造という手法は、複数の工人によって分業し、組み立てて一体の仏像を作り上げる手法を指します。これによって使用する木の節約や巨大な仏像を作るのが可能になり、また像の耐久性もあがりました。

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この記事のまとめ


金剛力士像について、その大きさや特徴、材質についてご紹介しました。
檜の木材を材質としている以上、傷みやすいのが特徴と言えるでしょう。

金剛力士像と言えば、東大寺の南大門にある8.4メートルの大きさの像が最も有名ですが、実は日本各地の寺に金剛力士像は存在します。もしお寺を訪れる機会があれば、金剛力士像がないかをチェックしてみるのも面白いかもしれませんね。

なお、以下の記事では金剛力士像が作られた鎌倉時代の文化について解説しているので、興味があれば一度ご覧になってみて下さいね。

※参照:鎌倉文化の人物とその代表作を5つ解説!