%e8%b2%bc%e3%82%8a%e4%bb%98%e3%81%91%e3%81%9f%e7%94%bb%e5%83%8f_2016_11_18_10_27 明治政府によって創設された「国家神道」ですが、通常の神道とは何が違うのでしょうか?

同じ時期に創設された「教派神道」との相違点もややこしくて分かりにくいですよね。

今回は、国家神道と普通の神道、そして教派神道の違いをわかりやすく解説します。

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国家神道をわかりやすく解説。創設された経緯とは?


まずは国家神道の意味を、わかりやすくご紹介します。

国家神道とは何なのか。簡単にその意味を言ってしまえば、その名の通り、国家によって整えられた神道です。そもそも普通の神道には、聖典も唯一神もいません。それぞれの土地の神社が祀る神様をあがめ、自然全体に畏敬の念を感じるというのが通常の意味での神道です。

国家神道と呼ばれるものが創設されたのは、日本が明治維新を成し遂げた後だと言われています。明治政府が制定した大日本帝国憲法は、信教の自由を保障していましたが、政府は今まで藩ごとにバラバラだった国民を統合するための思想を必要としていました。

そこで、政府は日本に古来より存在し、神社を通じて国民にも馴染みの深い神道に着目しました。当時の日本では、神道と仏教がごちゃ混ぜの状態にあり、神社に仏像が飾られることも普通にあったそうです。そこで、まずこの状態を改め、結果的に仏教を排斥する廃仏毀釈へとつながります。天皇一族を神とみなし、宗教ではないという立場を使って、教育勅語という形で国民が持つべき道徳を浸透させたのです。

このように国民をまとめ上げるため、政府が広めてきた国家神道でしたが、太平洋戦争後は、日本を戦争に導いた思想として規制されることとなりました。しかし、国家と神道をめぐる問題は、靖国神社などを通じて現代まで続いています。

国家神道と通常の神道の違いとは?


それでは、国家神道と普通の神道の違いはどこにあるのでしょうか。

簡単に言えば、国家神道が国からの押し付けによる思想なのに対し、通常の信仰はその土地独自の信仰に端を発するものです。「八百万の神」という言葉がある通り、日本は昔から自然の至るところに神様がいるという考え方がありました。山の神、田んぼの神、紙の神様もいればお米の神様もいるという感じですね。

また、こうした自然の神様は、その土地の有力者の氏神とされてきました。そしてこうした氏神を祀るために、当時の権力者は神社を造る事も珍しくなかったのです。例えば平安時代に力を持っていた藤原氏の氏神を祀るのは春日大社という感じで、昔の日本には色々な神様が様々な場所で祀られていたのです。

しかし明治時代になると、当時の政府はこうした全国各地の神社を統一するために、社格(神社のランク付け)や神職の世襲を禁止して神社を制度化するといった改革を行いました。こうした施策を通して、当時の日本政府は国民の信教の自由を認めながらも、国家神道の思想を人々に広めたのです。さらに神仏分離政策などを通じて、公式見解のないまま、神社へ崇敬の念を表すことが事実上、国民の義務であるかのようになっていきました。

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宗教になった神道「教派神道」をわかりやすく解説!


幕末から明治にかけての激動の時代に生まれたのは、国家神道だけではありません。実は、宗教と認められた神道の宗派が、国家神道以外に14団体(現在は一つ脱退して13団体)あります。
このような神道のスタイルを「教派神道」と呼びます。

教派神道の始まりは、国家神道の項でも説明した神仏分離です。神道と仏教をしっかり区別し、神道を日本人に神道させようとする際、ある程度定まった教義や信者数を持つ神道を指定する必要が出てきました。そこで、一定の条件を満たした14の教派を、明治政府が公認しました。

では、教派神道と国家神道の違いは何なのでしょうか。まず国家神道は、国家によって積極的に日本人に広められた思想です。そして、その中心には天皇一家がありました。一方、教派神道は、元々根付いていた思想であり、必ずしも天皇を中心に据えているわけではありません。

「教派神道」は、それぞれの歴史は深いものの成立は新しいので新宗教と呼ばれることが多いのも特徴です。奈良県の天理市の名前の由来となった天理教や教会数の多い金光教、信者の多い大本などは馴染みが深いかもしれません。教派神道は、明治政府の政策をきっかけとして生まれたものの、戦後も、戦争との関係が薄く国民に浸透していることから解体を免れた点も、国家神道とは異なります。

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この記事のまとめ


神道にこれだけの種類と歴史的経緯があるのは、意外だったのではないでしょうか?
最後に、それぞれの違いをわかりやすくまとめてみました。

・国家神道
明治政府によって創設された
公式的には、宗教ではない
天皇一家が崇拝の中心
戦後、解体された

・(通常の)神道
その土地独自の信仰に端を発するもの
「八百万の神」という言葉の通り、至る所に神様がいるとされる
土地の実力者には「氏神」という独自の神様がいた
明治政府によって、全国各地の神社が統一された

・教派神道
明治政府によって公認された民衆信仰
宗教という扱い
それぞれに異なる祭神
現在でも残る


神道の歴史は、日本の歴史に深く関わっています。
初詣などで神社に立ち寄った時に、うんちくとして友人に語ってみてはいかがでしょうか。

なお、神道をめぐる歴史には様々な解釈があるので気を付けてくださいね。