最近の大相撲では、稀勢の里の横綱昇進が実現するかの話題で持ち切りですね。
ただ、この「横綱」という地位、その詳細はどのようなものなのでしょうか。
このページでは「横綱」という言葉の語源や負け越した力士はいるのかを交えて、横綱という地位について詳しく解説します。
横綱とはどのような地位なのか?
大相撲の番付の中で最高位にあたるのが、この横綱という地位です。昇進するためには「大関で2回連続で優勝するか、それに準ずる成績を収める」という条件があり、全ての力士が目標とする地位という事になっています。
横綱に昇進すると、本場所の取り組み前や巡業先で「横綱土俵入り」という儀式を行う事が許可されます。通常、土俵入りは関取(幕内と十両の力士)全てが一同で行うのですが、横綱の場合は単独で行えるという権利があるのです。
これ以外にも、負け越しや休場しても地位を失う事はない、付き人の数が15人前後とかなり多くなる、引退後5年間は四股名のままで相撲協会に残れる、ファーストクラスやグリーン車が利用できる等、数多くの特権が与えられているのも特徴です。
過去には71人の力士が横綱と認められているのですが、その中で成績が格段に素晴らしい者を「大横綱」と呼ぶ事があります。このうち著名なのは「昭和の大横綱」と呼ばれる双葉山や大鵬、北の湖や千代の富士、そして「平成の大横綱」と呼ばれる貴乃花や白鵬が挙げられます。
なお、25回の優勝や6場所を制覇した朝青龍も「大横綱」に含める事もあるのですが、横綱は実力だけでなく品格も求められる地位であり、この点を踏まえると朝青龍を「平成の大横綱」に含めるのは間違いである、とする意見も根強く残されています。
「横綱」という言葉の語源とは?
この「横綱」ですが、語源は一体何なのでしょうか。
横綱という言葉はもともと、この地位にいる者だけが身にまとう事を許可されている麻で出来た、白い綱の事を意味しています。以下の画像は35代目の横綱である双葉山ですが、白い綱を身に着けている事が分かりますよね。
※参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/横綱
もともと、横綱という地位は番付には掲載されておらず、その最高位は大関でした。こうした大関や関脇の中で、この綱を付ける事が相撲の家元である吉田司家から認められた力士を「横綱」と呼ぶようになったのです。
余談ですが、戦国時代には綱の色は白だけでなく黒が混ざっていたケースもありました。また、横綱は吉田司家から免許を獲得しなければ正式には付けない地位だったため、吉田司家以外の者から横綱免許を獲得した力士は司家に遠慮して、綱の色を黄色など異なるものに変更したという記録も残されています。
過去に負け越した横綱はいるの?
現代の角界の最高位である横綱。地位に見合った成績を挙げられなければ引退を勧告される事も少なくありません。それでは、本場所で負け越した横綱はどれ位いるのでしょうか。
まず、本場所に全て出場したにも関わらず負け越した横綱としては、以下の6人が挙げられます。
・鳳谷五郎(大正8年5月:3勝6敗1休)
・宮城山福松(昭和2年10月:4勝7敗、昭和5年3月:4勝7敗、昭和6年1月:5勝6敗)
・男女ノ川登三(昭和13年5月:6勝7敗)
・安藝ノ海節男(昭和20年11月 4勝6敗)
・大乃国康(平成元年9月:7勝8敗)
・若乃花勝(平成11年9月 7勝8敗)
このうち、大乃国と若乃花の2名は成績を見れば分かる通り、1つの場所が15日間行われるようになった後で横綱として負け越しを経験しています。その背景として、大乃国は「睡眠時無呼吸症候群」という病気の診断を受けており、若乃花も左足の肉離れを発症した上での強行出場という事情がありました。
実際は、ケガなどで良い成績を出せる事が出来ない、負け越しも有り得ると判断した場合は、横綱本人が休場を決断、もしくは周りの者が休場を奨めるという事が多いと言われています。最近では2017年の初場所で10日目までで5敗だった鶴竜が「横綱の相撲が取れない」という理由で11日目から休場した事でも話題になりました。
この記事のまとめ
横綱とはどのような地位なのか、その語源や負け越した者はいるのかも含めご紹介しました。
「大関で2回連続優勝する、あるいはそれに準ずる成績を上げる」事が横綱昇進の条件なのですが、時代によって2場所連続優勝が必須か否かは変わっています。昭和ではこの規定は緩かったのですが、平成ではこの基準は厳格化されていきました。
しかし最近では、日本人横綱の数が減っている事もあり、そろそろ基準が緩まると予想するのですが・・・。横綱候補とされる稀勢の里の活躍、あるいは若手力士の台頭など、今後誰が横綱になるかに注目したい所です。
・追記:2017年1月26日
かねてから横綱昇進が期待されていた稀勢の里関が横綱に昇進しましたね。久々の日本出身横綱の誕生という事で、相撲ファンの間での盛り上がりもかなりのものとなっています。
また、稀勢の里関は横綱土俵入りでは「雲龍型」を選択されたようですね。
この「横綱土俵入り」について以下の記事でご紹介しているので、興味があればこちらもご覧になってみて下さいね。
※参照:横綱土俵入りの時間や行司の動きは?2つの型の違いも解説!