織田信長や豊臣秀吉が活躍した安土・桃山時代はとても派手なイメージがありますよね。
この時代の文化は「桃山文化」と呼ばれ、豪華かつ個性的なことで有名なんですよ。
今回はこの桃山文化の特徴について、中学生でもわかるように説明したいと思います。
代表的な人物や作品にも触れるので、ぜひテスト前の勉強に役立ててみてくださいね!
目次
桃山文化の特徴(その1)千利休と茶の湯
日本には昔からお茶をたてて飲む文化があります。現代では「茶道」という名前で知られていますが、安土・桃山時代には「茶の湯」と呼ばれていました。
この時代に茶の湯のジャンルで活躍した人物がいます。千利休です。利休は信長や秀吉に仕え、茶の湯に使う道具を新たに考え出したり、茶の湯における儀礼を定めたりしました。また、利休はそれまでの豪華な茶の湯に対し、シンプルで飾り気のない道具を使ったり、独立した狭い空間でお茶をたてたりする「侘び茶」というジャンルを確立します。
「侘び茶」とは日本独特の「わび・さび」の精神に通じるものでもあることを覚えておくといいですね。利休の死後も侘び茶の精神や文化は受け継がれていきます。
桃山文化の特徴(その2)狩野派と豪華な障壁画
ふすまや壁に描く絵のことを「障壁画」と言います。
桃山時代には下地に金箔を使ったとても豪華な障壁画が描かれました。
その中心的なグループに「狩野派」という集団がいます。狩野派の中でも狩野永徳が描いた『唐獅子図屏風』『源氏物語屏風』『洛中洛外図屏風』『花鳥図』は桃山文化を代表する作品です。永徳の絵は鮮やかな色彩と力強い構図が特徴的です。
他にも長谷川等伯・久蔵親子が描いた祥雲禅寺(現智積院)金碧画も、狩野派に並ぶ桃山文化の傑作と言われています。
※参照:狩野永徳の作品の特徴や織田信長との関係とは。子孫もいる?
※参照:長谷川等伯の略歴とは。狩野永徳との関係や代表作について!
桃山文化の特徴(その3)出雲阿国と歌舞伎の始まり
「歌舞伎」と聞くと男性の役者さんを思い浮かべますよね。
実は、歌舞伎は安土・桃山時代に、女性から始まったことを知っていますか?
歌舞伎は、出雲大社の巫女という説もある出雲阿国という女性が、京都で「かぶき踊り」を舞ったのが始まりと言われています。この頃の「かぶき踊り」はとても官能的な踊りで、遊女たちの間で流行すると同時に、庶民にも広く受け入れられました。
ですが、こうした官能的な踊りは風紀の乱れを招くと考えられたため、江戸時代に入ると女性による歌舞伎が禁止され、現在のような男性による力強い歌舞伎が流行するようになったのです。
桃山文化の特徴(その4)有田焼、伊万里焼…陶磁器の登場
桃山文化が栄えた17世紀ごろ、日本で初めて「陶磁器」と呼ばれる焼き物が作られます。
陶磁器は陶石という石を使って作られていて、白色で硬いことが特徴です。
肥前(現在の佐賀県)有田の泉山という場所で陶石が発掘されたため、陶磁器は肥前を中心に栄えます。その代表的なものが「有田焼」と「伊万里焼」です。泉山を発見し、陶磁器の技術を伝えた朝鮮人技師の李参平は、その功績から「陶祖」(陶磁器の祖という意味)と呼ばれています。
有田焼と伊万里焼は江戸時代後期に各地で陶磁器が大量生産されるまで、日本で唯一の陶磁器として貴重品扱いされました。
桃山文化の特徴(その5)安土城や大坂城、姫路城などの城郭建築
桃山文化の代表といえばお城(=城郭建築)です。
お城は軍事的施設という意味をもつ一方で、権力の象徴でもありました。
そのため、桃山文化の頃のお城は、美しく立派であることが求められました。
城郭建築に新しい風を吹かせたのは、織田信長が作った安土城です。安土城は七階建てというとても大きなお城でした。安土城をモデルにして豊臣秀吉が建てた大坂城は、安土城を超える大きさを誇り、なおかつ黄金をめいっぱい使ったキンキラのお城です。また、秀吉の家来である池田輝政という武将によって姫路城が改修されたのも桃山文化の頃です。姫路城は全体を漆喰で塗りかためていて、真っ白に輝くボディをしていることが特徴的です。その白さから、「白鷺城」とも呼ばれています。
現在、安土城は石垣の一部が残っています。大坂城は昭和3年に建て直されました。
姫路城は築城以来その歴史を維持し、1992年に世界遺産に登録されました。
この記事のまとめ
桃山文化の特徴や代表作品についてご紹介しました。
・千利休と茶の湯
・狩野派と障壁画
・出雲阿国と歌舞伎
・有田焼や伊万里焼などの陶磁器
・安土城、大坂城、姫路城などの城郭建築
この時代の文化の特徴や代表作と言えば、大体このようなものが挙げられると思います。
戦国武将たちが活躍したこの時代とは、文化の面でも豪華で個性豊かなものが発展したことが特徴的ですね。今回紹介した桃山文化の芸術作品の中には現存しているものもあります。資料集や書籍を通じて理解を深めるとともに、ぜひ現物を見たり体験したりすることで桃山文化の豪華さなどを味わってみてはいかがでしょうか。